Ｐｒｏｍｉｓｅ
４話 涙
「ふーっなんかこんなに騒いだの久しぶり!!」
少々遊びつかれて3人は色とりどりの花のじゅうたんに倒れこんだ。
レムとイリアの和やかな会話が飛び交う。
『本当ね』
そんな中でシオンはがばっと起き上がり叫んだ。
「えっ!?お前らいつもあんなんだっただろうが!!!」
この様子からすると本気で驚いているらしい。
『失礼しちゃうわね!!私たちは"レディ"なのよっそんなことするわけないじゃない!」』
「れでぃ???は〜っ!?豆粒がなに言ってんだよ!!」
『なんですって〜!!!!!』
レムの顔がだんだん赤くなり、わなわなと体を震わせる・・・・だが突然震える手が止まる。
「レム？」
俯いてる彼女にイリアは恐る恐る声をかけた。
すると彼女はいきなり顔を上げ二コリと笑う。
『・・・もういいわよっなんだかのど渇いちゃった！！何か果実とってくるわ』
そういうと彼女は小さな羽根をひらりとはばたかせ、シオンとイリアの間を通り抜けていった。
「むっ逃げるか貴様っっ!!!」
『逃げないわよ!!!だからのど渇いたって言ったでしょ!!!!』
「う・・・」
レムの凄い剣幕にシオンは一歩足を引っ込めた。
(人がどっか行ってあげようとしてるのに・・・なんでわかんないのかしら)
頭の中でそんなことを考えなが彼女はらふわふわと飛んでいった。
「あ〜あ行っちゃった・・・シオンのせいだからね!!」
レムの姿が見えなくなるとイリアは少し怒ったようにシオンを見た。
「なんでだよ!!」
「だって喧嘩しなかったらこんな風にならなかったでしょ」
「そんなことはない!!」
「どうしてわかるのっ」
「・・・なんとなくだ!!!!」
シオンは握り拳を作り力いっぱい力説する。
「・・・っそれ理由になってないよ!!」
「うるせ〜っ俺様が言うんだからそうなんだよ!!!」
そう言うとシオンはクルッと向きをかえイリアに背中を向けた。
「・・・・・」
何かを言い返して来るだろうと思っていた彼は後ろから何にも反応がないのを不審に思った。
「・・・・・・・」
いくら待っても返事が返ってこない。
こっちが折れるのは癪に障る。
でも返事が返ってこないのが気になって仕方がない。
シオンはとうとう諦め振り返った。
「イリア?どう・・・!?」
彼は本気で焦った。
振り返って瞳に飛び込んできたのは涙に濡れる彼女の顔。
どうしていいかがわからなかった。
こんなふうにさせるためにここにきたのではない。
自分は不器用だけど・・・・彼女にこんな顔をさせたことはなかったと思う。
でも彼女には心に残る傷を作ってしまった。
シオンの胸に後悔と懺悔の気持ちがが渦巻いた。
訳がわからなくなっていく。
どうしてたらいいか・・・慰めようにもそもそも自分にその権利があるのか・・・・・・・。
頭の中に色々なことが巡る。
上手くまとめようにもまとまらない。
頭で考えられなくなってしまった彼は１つの行動に出た。
もう何がなんだかわからなかったけど・・・。
心は１つただ泣かせたくなかった。
「泣くなよ・・・」
「でっ・・も〜・・・・」
「頼むから泣かないでくれ」
「・・・?シオン」
シオンの様子がおかしいのに気づいたイリアはふと顔を上げる。
目の前には綺麗な緑色の瞳があって・・・。
それに見とれていると唇に何か暖かいものが触れた。
”何か”がシオンの唇だと気づくのにたいした時間はかからなかった。
だんだん顔が赤くなる。
その様子を見てシオンもつられるように顔を赤く染めた。
「あっあの・・・・」
「イリア」
「はい」
「泣く前に笑えよ」
イリアの肩に手を置き赤くなった顔を横に向けて偉そばった。
そんな彼を見て思わず噴きだしそうになる。
「なに笑ってんだよ〜・・!!」
「だって〜〜!!!」
「てめ〜せっかく俺様がいいこと言ってやってるのにっ」
「はははは・・・・って何〜〜!?」
声を出して笑っているといきなり抱きしめられた。
腕に力が入っているのか少し苦しい。
「そうやっていつも笑ってろよ」
シオンの声が少し辛そうに聞こえた。
彼の腕にまた力が入る。
「うん。もう泣かない」
それに答えるようにイリアは彼の身体に腕を回した。
「よしっ約束だ」
シオンは腕の力を緩めた。
「シオ・・・!?」
再会したときは指の先が透けていただけだったのに今はもう彼の身体全体が透けている。
「どうやら時間みたいだナ・・・・イリア約束守れよ!!」
シオンは赤くした顔でイリアを見つめそして満悦の笑みを浮かべる。
イリアが返事をしようとした次の瞬間瞳には彼の姿が映らなくなっていた。
残ったのはいまだ彼女に残る彼のぬくもりだけ・・・。
先ほどまで優しく彼女の頬を撫でていた風が凪いでいる。
にぎやかだった花畑は静まりかえった。
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