あるときコーヒーを頼む。
寒い日にはホットコーヒーが一番。
誰かが店の中で言っていた。
そんな他愛もない話に耳を傾けているとテーブルの上にホットコーヒーがのった。
コップに触れると冷えた手からじんわりと温かさが伝わってくる。
手が温まり終わるとそっとカップに口をつける。










「・・・・にがっ」










ホットコーヒーとミルク


先ほどまで姿が見えなかった小さな妖精は可愛らしく降り立った。
そしてテーブルの上に座ると一緒に旅をしている少女を見上げる。
『イリアまたコーヒー飲んでるの?ミルクは?』
「うん。・・・でもやっぱり苦いや。よくこんなの飲めてたよね」
その質問にイリアは曖昧な笑顔を見せて答える。
『あれは我慢して飲んでたのよ!!』
「レム〜・・何も根拠のないことを・・・・」
『そんなことないわよ。ほらっ意地っ張りだったじゃない?』
レムはイリアの目の辺りまで浮かびピンッと人差し指を立て言った。
「うーん・・・確かにそうだったかど〜・・・・・・」





目を閉じ腕を組み考え込んでいると後ろから明るい声が鳴り響く。
目を開けるとすぐそこにコップを一つ持った店員がニッコリと笑っている。
「おまたせしました〜っミルクです」
こぼさないように店員は上手にミルクを置いた。
『あれっミルクも頼んだの?』
「ボクミルク好きだし。コーヒーって苦いしね」
そう言うとコーヒーを置きミルクのカップを手に取ると一口飲んだ。
「やっぱりおいしい♪」
『私にも飲ませて』
「はい。ここのミルクとってもおいしいよ」
『本当!おいしい〜』
レムは両手をカップに置きイリアを見上げて言った。
「でしょ!!」
ニコニコ笑いながらコーヒーのカップに手を伸ばした。
『なにするの?』
「えっなにって・・・こうするんだよ」
『あっ・・・』
黒いコーヒーが白いミルクに注がれた。
だんだん白い色が変わっていく。
『・・・・カフェオレ?』
「うん。ボクとシオンみたいでしょ?」
『???』
「ふふふっ」





黒くてにがーいコーヒーと白くてあまーいミルク。
賢くてちょっとイジワルなシオンとまったく正反対なボク。
なんだか似てるな〜って思ったのはつい最近。
ボクがコーヒーを頼みだしてから。


コーヒーとミルクって混ぜるととってもおいしいんだよ。
見た目はぜんぜん違うけど仲良しなんだね。
まるでボクとシオンみたい。
そう思ったのはボクだけ?
シオンはどう思ったんだろう?










ふとそんなことを考えたのはとても寒い日。
ボクがコーヒーとミルクを頼んだある日のことだった。







+++Postscript+++



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