遠い とおい トオイ昔・・・セピア色の思い出。
消し去ることの出来ない美しい記憶。
片隅に今も離れないあの笑顔。
瞳に焼き付いているあの姿。
色あせてはしまったけれど忘れはしない。
まぶしいくらいの少女を・・・。
「ねぇバッツしってた?わたしたち"こんやくしゃ"なんだって!!」
「"こんやくしゃ"なぁにそれ?」
「うーんと・・・おとうさまがいうにはなかよしだからって!」
「そうなんだ〜あっおとうさんもいってたよ!ぼくたちおとなになったら"けっこん"するって!!」
「バッツもきいたの!?わたしもきいたよジェニカがいってた」
「"けっこん"ってなにかな〜??」
「う〜んっなんだろう・・・ずっといっしょにいれるってこと??」
「いっしょに!?じゃあいつでもあそべるなっ」
「うん!!・・・はやくおとなになりたいな〜そうしたらいっぱいあそべるのに・・・・」
「だいじょうぶだよ!!すぐなれるって」
「そうかなぁ」
「そうだよ!・・・サリサおとなになったらぜったい"けっこん"しような!!やくそくっ」
「やくそくっネ♪」
そう言って俺たちは笑いながら小指を絡めた。
婚約者の意味も結婚の意味も知らなかったあのころ・・・そう約束した。
平穏だった昔の思い出。
なぜ自分が"そこ"にいたのかもわからない。
なにがあって彼女と遊んでいたかもわからない。
ただ ただ幼くて・・・一緒に遊んでいるのが楽しかった
憶えているのは彼女の笑った顔。
そして自分たちよりもっと小さな彼女の妹。
あと・・親父と陛下それにばっちゃんのやわらかい空気・・・・・。
あのころは幸せだった。
何も考えなくてよかったから。
だからとても幸せだった。
遠い とおい トオイ昔の可愛い誓い。
暖かくてやさしい風のような小さな記憶。
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