俺はなんて自分勝手なんだろう・・・。






マワル世界





潮の香りが鼻腔をくすぐる。
海独特の湿っぽい空気が体にまとわりついた。
船のゆったりと流れる時が好きだ。




カルナック、トゥール間を行き来する船に俺たちは同乗した。
連日走りっぱなしでスピードが落ちてきたチョコボをカルナックのファームの主人にまかせるとトゥールまで船で行くことになった。
あのチョコボたちは今頃、甲斐甲斐しく世話をされてジャコールへと帰途についている頃だろうか。
カルナックでまたチョコボを借りてもよかったが、ファリスが船に乗ろうと言い出した。
ずいぶん良くなったがまだ完治していないこの体を気遣ってくれたのだ。
その好意を断る理由もないので船に乗ることにした。
トゥールまでは2、3日かかる。








正直、いい休息になっている。








自分自身なんでこんなに急いでいるんだろうと思う。
そりゃあ、レナの結婚式には間に合わせないといけない。
でも結婚式まではあと一ヵ月半ほどある。
トゥールに着いてからどんなにゆっくり行ってもタイクーンまでひと月もかからないはずだ。
途中、海賊アジトに寄ったとしても余裕で間に合う。




なのにどうして・・。








バッツは美しい海から目を逸らすと息をついた。












逃げているだけなのかもしれない。




怪我をおしてジャコールを出てきたのも・・。


ただ純粋にあの魔物が気になって・・・というものじゃない。
気になってはいるけど、きっとそれだけじゃ動かなかった。
のん気に完治するまで待っていただろう。
バルでレナのことを聞いたとき、喜んだ。
結婚という言葉に祝福とは別の喜びが生まれた。
また急ぐ理由が増えたと・・。








そう、逃げているだけなんだ。

ズルズルと時間をかけ先延ばしにしているだけ。












自分がどうしたいかなんてわかりきっている。

それなのにそこから前に進めない自分がいる。








本当に俺は身勝手な人間だ。








自分で自分の首を絞めて、苦しんでもがいている。

それでいて助けを求めている。








バカをやっていると思う。








時々自分でも何で苦しんでいるかわからなくなることもある。
















だって・・・想う人は目の前にいるのに。








自分に向けて微笑みかけてくれるというのに。








手を伸ばせば握り返してくれるというのに。




















己が許せない。
















彼女はきっと許してくれるだろう。
そんなこと気にしていないと言ってくれると思う。












それでも・・。












それでも自分が許せない。






















































「バッツー!今夜の夕飯肉と魚どっちがいい?」




片手をあげてファリスは甲板の先にいるバッツを呼んだ。
振り返った彼はいつものように笑顔を見せて答えた。
その笑顔が辛そうに見えたのは彼女の錯覚ではない。




「んーーっ肉がいい、かな」




同じく片手をあげて叫んだバッツにファリスはわかったと言い残し船内へと姿を消した。
























精一杯接してくれる彼女に寄せ集めて作った笑顔をしか向けられない自分が憎い。








Photo by 「NOION」






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